二十四節気と漢字秘話②
国連教育科学文化機関(ユネスコ)無形文化遺産に「二十四節気」が登録されています。
そんな「二十四節気」における四・六の数字「字画」は、極めて重要な意味を持つのをご存じでしょうか。
一つ目は、「四・六」文化です。
中国の旧暦には四季があり、各季節には四・六、二十四の六つの節気があるのは、前回お話ししましたね。
四・六の数字「字画」は「四・六」文化とも言い、天と地の間に生きる私たちは、大自然に感謝し、天と地を敬わなければならないのです。
「天」の字は四画
「地」の字は六画
人間は自然の中で、二十四節気に従って適期に種をまき、収穫し、それによって衣食住や移動手段まで確保でき、生活を営んでいます。
天と地の大自然の中で、天地の恵みを受けて生きているのです。
この「四・六」の原点を理解してこそ、真の意味で生きる道が見えてくるのです。
二つ目は、「親孝行の文化」です。
我々は両親の間に生まれます。
親孝行は、漢字文化圏の伝統文化として非常に重要です。
「万事孝為先」という身近な言葉がありますが、これは親孝行の重要性を示しています。
「父」の字は四画
「母」の字は六画(現在は五画ですが書画作品など古くは六画で書かれていた)。
「四・六」の二字の由来を理解すれば、親の恩に感謝し、年長者を敬い、その恩に報いることを学ぶべきでしょう。
三つ目は、「家族の文化」です。
家族は社会的最小単位であり、それぞれの家族は小さな国家であり、その無数の小さな国家が国家を構成していると言ってもよいでしょう。
家族の中で最も重要な役割は夫と妻であり、老若男女がいる家庭では家族の調和が重要です。
「夫」の字は四画
「婦」は六画(中国語の略字「妇」、旧字体では「婦」)
「老」は六画
「少」は四画です(「少」は若いの意、例えば、少年、少女など)。
老人を捨て、若者を育てるのは縁起が悪い。
家族構成の最重要要素の夫婦(妇)の「四・六」を理解すれば、夫婦で家庭を形成し、家族に対しても自分に対しても、お年寄りを敬い、子供を愛することの大切さにもっと目を向けることができるようになるのでしょう。
また「文」の字は四画、「字」の字は六画というように、「四・六」の文化が反映されています。
“孔子 “の「孔」字は四画、”老子 “の「老」字は六画です。
この「四・六」を知れば、儒学者・中国教育の第一人者であり、中国の伝統文化を代表する聖人である孔子と老子をも知ることができるのです。
先人たちは、漢字作りをはじめ、言葉を作るときも、天・地・人などの自然の摂理とうまく融合させたことが実に素晴らしいと感じます。
岡村宏章(国立大学法人島根大学 外国語教育センター 准教授)